浜岡原発視察
昨日の原発研修会のあと、柏崎を立ち、今日は静岡県の浜岡原子力発電所の視察に訪れました。原子力発電所の視察は、原発特別委員会として行った「福島第一」「高浜」、会派で行った「伊方」「六ヶ所村の再処理施設」、地元の「柏崎刈羽」に続いてのことでした。それぞれに視察の目的がありましたが、今回は「廃炉関係」の視察でした。実は今回の視察は会派だけの視察ではなく、県議会議員4人と一緒の視察でした。県議としても原子力発電所の廃炉に関しては関心があるところだと思います。全国で先駆けて進めている浜岡原発の取り組みには今年になり柏崎市長をはじめ、何人かの柏崎市議会議員も視察に訪れています。もしかすると先方は柏崎市が来るならまとまって来てほしいと思ったかもしれません。
視察の流れは、広報センターで説明→防潮堤などの安全対策施設見学→1・2号機の現状を現場見学→質問と説明、というものでした。対応してくださったのは松井誠浜岡地域事務所長、榎尾一秀総括広報グループ部長、三澤尊久研究主査でした。
説明や見学で印象に残っていることです。
・「廃炉」とは言わない。「廃止措置」という。廃止措置計画、という使い方もする。
・浜岡は1~5号機まである。1・2号機は廃止措置中、3・4号機は適合性確認審査中、5号機は海水流入事象に伴う対応中。
・発電所で働く従業員は協力会社を含めておよそ3800人。
・浜岡1・2号機の廃止措置は4段階。第一段階は平成21~27年度で主に燃料の搬出をした。第2段階は平成27~34年度で主にタービン建屋の解体を行う。第3段階は平成35~41年度で主に原子炉領域の解体を行う。第4段階は平成42=48年度で主に建屋等の撤去を行う。
・廃棄物は全体でおよそ45万トン出る。そのうち放射線廃棄物は合計でおよそ2万トン。
・1・2号機の使用済核燃料は現在5号機のプールに入れている。その後の移動先は決まっていない。
・現在は第2段階の作業中。解体等に関しては定期点検と同じ体制で行うことが可能。工事物量としては大したことはないので、新しいビジネスになったという感覚はない。廃止措置では常時80人くらいの作業員。中部プラントが請け負っている。
・廃止措置のキモはクリアランス制度。解体は放射線レベルが低いところから行っていくことになるが、クリアランスが必要な解体物が出てくると、それを置いておく場所が限られてしまう。クリアランス制度がうまく回るようになると、その解体物が次の置き場に移せたり、業者に買い取ってもらうことが早く行える。作業を早くやりたくても物を置く場所がないなどの課題がある。
廃止措置の計画は第1段階から第4段階まで細かく決めてから始めるものではなく、第1段階を行っているときに第2段階の詳細を決めていくようになっている。今は第3段階の詳細を計画している状況だそうです。説明を受けてみると、「廃炉ビジネス」というものは新たに創出できるものではなく、定期点検で入っている業者がまかなっている現状のようです。ただ、これから国の制度、クリアランス制度などが変わっていくことにより、よりスピーディーに作業が行えるようになると、新たな事業所の参入があり得るかもしれません。浜岡原発の廃止措置が全国の先駆けになっており、その方向がこれからの廃止措置の手本になっていくと思われるので、今日の視察は大変有意義でした。
ただ、構内に入って作業をしている人の中には様々な事情をもっている方が少なくないと思われます。今日私たちが入ったところよりも線量が高く危険な場所での作業になると、どんな人たちがそれを請け負っているのかについての関心が高まりました。私たちが知っている原発内の作業者はその電力会社の方たちが主ですが、原子炉に近い作業はどういう方が行っているのでしょう、そういう話題はあまり知らされていないのではないかと思います。
今日の視察の対応をしてくださった松井所長を始めとした浜岡原発にお勤めの方々、大変ありがとうございました。特に榎尾さん、三澤さんは細部にまで丁寧に説明、質問への回答をくださりました。
立地されている御前崎市民には話を伺えませんでしたが、浜岡原子力広報所の一般市民の方々の利用を見ていると、中部電力と市民の関係が良好で、信頼関係も築けているのではないかと思いました。原子力発電所の稼働については、何回も書いていますが、電力会社と立地地区住民との信頼関係が何よりも大切だと思いました。