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「福祉」「原発」2つの講演会

今日は午前に「この国の福祉はどこへ?」という演題で毎日新聞論説委員の野沢和弘さんの講演を聞きました。午後からは会派セミナーの4回目として「原発を再稼働させてはならない理由」として原子力資料情報室の松久保肇さんの講演を聞きました。両方とも大変濃い内容でした。

野沢さんは新聞社の論説委員ということもあり、大変わかりやすく、そして聞いていて飽きない、心地よい、楽しい講演でした。あっという間の90分でした。福祉をテーマとして、障害者雇用、高齢を楽しむまちづくりなどについての内容でした。日本全国で様々な取組をしている地区のみならず、北欧のスウェーデンやオランダなど世界の事情もお話しくださいました。講演の中で印象深かったものをいくつか紹介します。

○昔の高齢者と今の高齢者は違う。漫画サザエさんに出てくる波平さんは54歳設定、歌手の郷ひろみさんは今年60歳。アクティブさが違いすぎ。昔と今を象徴しているかもしれません。

○障害者は働いている喜びを全身で表す。それによって周りが明るくなる。障害者を労働者として雇用することにより、「コミュニケーションの促進」「会社の雰囲気の改善」につながり、業績が上がるといわれている。

○障害者が働くためには事業所に「合理的配慮」が必要。合理的配慮とはユニバーサルなこと。

○障害者を雇用することにしり込みをしていた事業所もいったん一人でも採用してみると、考え方が変わり、雇用を増やしている。

○障害者のイメージではない人も、障害者枠で雇用されている人がいる。公認会計士の資格をもっていたり、歯科医師の免許をもっている障害者もいる。

また、「専門用語を多用することは、相手に踏み入られないようにするためであり、相手を排除する意識がある」とも話されました。難しいことを分かりやすい言葉にすることは相手の目線に立ち、お互いに知識や感情を共有したいという意識があるのでしょうね。さらに、「夕暮れ時からが楽しい」とも話され、人生も夕暮れ時からが楽しいのだ、と高齢をポジティブに受け入れて生活していくことが大切だということにも気づかせてくださいました。ありがとうございました。

松久保さんは、若いにもかかわらず深い見識を感じられる人でした。講演では原発の再稼働は様々な理由から「ありえない」ということを理路整然と話していただきました。特に原発不要の理由はとても説得力があるものでしたし、それ以外にも、なぜ国は原発再稼働を急ぐのか、世界の現状、審査に合格したら本当に安全なのかなど、実際の数値を示してくださり、分かりやすいものでした。以下にその内容の一部を紹介します。


○原発が不要な理由、①電力は足りている。②温暖化対策に効果的はなかった。③老朽化する。40年間で廃炉になるとすると2049年に、60年間で廃炉になるとすると2069年には日本に原発はなくなる。④限界に近づく燃料プール。使用済み核燃料の貯蔵は柏崎刈羽原発ですでに85%。⑤中小企業コストに占める光熱費は0.61%。2011年は0.37%で、確かに上がったが、倒産するレベルでは全然ない。

○再生可能エネルギーの話には未来がある。大規模発電(原発・火力)は未来につながらない。

○世界中で現在438基の原発が稼働中、65基が建設中、165基が計画中である。建設コストが上がってきている。

○世界のトータルとしては風力の方が原子力の発電量より多くなっている。

○今、国は福島で年間20ミリシーベルト以内の地区であれば、避難している人を帰還させようとしている。通常は年間1ミリシーベルトであり、原発内で年間5ミリシーベルトのところではマスクをしたり防護服を着たりしているのが現状なのに。

確かに中小企業では電気料の高騰に苦しんでいるという事実は承知しているうえで、再生可能エネルギーの開発にはそれなりのコストがかかり市民にも負担してもらうことも承知しているうえで、・・・やっぱり原発の再稼働は危険であり、世界の流れとしての再生可能エネルギーによる発電にシフトしていくべきだという主張には異論の余地がないように受け取りました。ありがとうございました。

しかし、原発再稼働を主張する意見にも耳を傾ける必要もあります。そういう機会があればいいと思いますし、紹介してほしいと思っています。以前から言うように、一方向だけの意見だけでなく、他方の意見も聞き、そのうえで自分の意見を決めていくことが正しいと思うからです。

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